6 デンタルクリニック(歯医者さん)        

歯が抜けた。正確に言うと虫歯の治療をし、空いたところに被せてあった金属の詰め物がとれた。その瞬間に気づきそうなものだが、飲み込んでしまってから舌が動いた時の違和感でやっと真実を知った。今は中華料理店で今度こそ本物のラーメンを食べている時である。朝食で食べた餅が悪かったようだ。歯の治療費はべらぼうに高いと聞いている。韓国から来ている女性が虫歯の治療を申し込んだところ数千ドル(数十万)かかるといわれ、韓国に帰って治療してきたという話も聞いている。まずい。アパートに帰りAIU(保険会社)に電話する。「AIUにはデンタルの保険はありません。」私が入っている保険では、歯医者の経費は補償できないとの事、冷たい返事であった。こちらに住む日本人にお願いして救急で予約の電話を入れてもらう。連絡を返すから待っているようにとの返事である。しかし一向に返事は来ない。こちらの歯医者は予約がぎっしりで、飛び込みはほとんど受け付けないらしい。仕方ない直談判である。翌朝直接歯医者に出向き、症状を言う。夕方にもう一度来いとのことである。何とか診てもらえそうだ、lucky。夕方、再度出向くと、受け付けがあり既応症の設問(病名など分からないものだらけなので、すべて、NOにチェックした)などに答え、診察を待つ。看護婦さん(?)に口の中を調べられ、お金がかかるがエックス線検査をしても良いかときかれる。“yes”と答える。エックス線検査の結果は、根の方に問題はないらしい。Dentistが来る。「こんにちは」、日本語だ、ホッとする。軍隊や学会やらで3回ほど日本に来た事があるらしい。3週間後に治療をするから来いと言われた。穴はといえば、空いたままである。事務の人が経費の説明をする。“seventy or eighty dollar”と言われた気がした。“OK”と答える。しかし突然不安になった。もしかしたらseventy hundred dollar(日本円で約80万)だったのではなかろうか。おそるおそるもう一度別の事務員に尋ねる。「さっき聞いていたではないか」と言っている気がする。“How long have you been?”と言われたので、“seven months”(本当はその質問に対する答えはtwo monthsなのだが)、と答える。それで英語が分からないのかと納得されたように思えた。兎に角70〜80ドルなら一安心である。

実を言えば、その日の朝、トイレで便器にぶつかる金属の音をひそかに待っていた。「汚いとかいってる場合ではない、煮沸消毒してそのまま被せてもらおう」、幸か不幸か何の音も聞こえなかった。

3週間後の治療といえば、セメントのようなものを詰め込むだけであった。これで治療費は115$。皆様くれぐれもご用心を。

 

BACK   NEXT  TOP